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ITpro Challenge 2008

今日はITpro Challenge! 2008の日。 去年はLTで話したけど、今年は普通にゲストとして参加させてもらった。 なぜかずっと来週 (9月12日) だと思い込んでいて、 Google カレンダーを開いて今日だということに気がついたのが前日だったという…。 あわてて休みを取ったよ。 会場の様子は Ustream でネット配信されていたみたいだけど、僕が印象に残ったところをメモを取ったので日記に書いておこう。

モバゲータウンをこうして作った (DeNAの川崎さん)

ケータイではiチャネルとかGMailのチェックくらいしかネットを使わないけど、そんな僕でもモバゲーという名前は知ってる。 そんなモバゲーや、それ以前に作ったモバオクについての話だった。

モバオクについて。 トラフィック増加については、今ならAmazon EC2のようなクラウドサービスを使うのかな?

  • 携帯用オークションサイト。2004年。
  • ヤフオクに流れない文化作り。
  • 絵文字などはガールズウォーカーを参考にした。
  • トラフィック増加でサーバ増設が追いつかない。ハードの発注にはリードタイムがある。
  • メール送信にMobaMail ← ググっても出てこないので綴りを間違えたかも?

興味深かったのはケータイ文化の話。 「短い文面で即レス」が基本ということ。 確かに、常に携帯していて、入力に時間がかかるデバイスだから、そうなるんだろうなぁ。 そういえば、同じコンセプトの音声版であるプッシュトークは流行ってなさそう…と思ったら「対応端末を所有しているユーザーのうち8%が月1回以上発信している」っていう状況みたい。 最後のQ&Aで、文化作りについて質問がでていた。この回答も興味深かった。

  • モバオク…PCを混ぜずに携帯のみに特化した。細かいやりとりが可能なUIにした。
  • モバゲー…モバオクの優良ユーザーを優先的に招待してやさしい文化を作ってもらった。後から来た人はその文化にあわせてくれる。

開発スタイルは短期集中型。それも、かなり緩急が激しい・

  • 北斗の拳でやる気を出す。ダメなときは三国志。
  • やる気が出ると、寝ず食べずに集中して作業。
  • 自分が作りたいものを作る。
    • ユーザが使いたいと思うサービスと自分が作りたいものが一致するように訓練
  • ちょっと高めの問題設定でやる気をだす ← これはソニーの盛田さんが書いた本でも読んだ記憶がある
  • 勉強会が苦手。技術自体にはそれほど興味がない(ちょっとニュアンス違ったかも)。活かし方に興味がある。
    • 技術は広く浅く。必要に応じて学ぶ。 ← いわゆるV字型
  • 枯れた技術で作れるものは枯れた技術で作る。モジュール・ライブラリは自分で書く。
    • → トラブルに対応できるよう、全て把握するため。
  • 理想の環境は、作家と優秀な編集者モデル。

もう一つ興味深かったのが、どんどん増加する負荷への対応方法。 意図的にWebサーバの1台にトラフィックを集中させ、そのサーバが落ちたら対策を考えるというスタイルを取っていたとのこと。 これって、「炭坑のカナリア」に似てる。

会場からのQ&A。

  • セキュリティについて苦労したことは?
    • 携帯に閉じていたのでいくぶん楽。XSSはフレームワークで対応。
  • iPhone対応の予定は?iPhoneはどのネットワーク経由でもアクセスできるし、JavaScriptも動く。
    • 認証をどうするかが課題。サブスクライバが使えないのでメアド認証しかない。
  • モバオク、モバゲーの成功要因は?
    • PVを集める方法。ランキングサイトへの登録。口コミ紹介にインセンティブ。
    • まずはいいものを作ることが前提。「すばらしい場所を見つけた」感を。
    • モバゲーはよくわかんない。

オープンソースで育つエンジニアリング・スキル (Nexediの奥地さん)

Nexedi(ネクセディ)のCTO&日本法人の社長さんで、プライベートではブートローダー GRUB のの主要開発者でもある。

  • 写真を撮られながら話すと総理大臣みたい。
  • 元々GRUBをやりたかった訳じゃない。Hurdをやりたかった。
    • Hurdの開発者が多忙なので、誰かがブートローダーを作らないといけなかった。
  • 収斂の図…趣味と本業が近くなってきた。
  • 哲学…人生とは、世界をよりよい場所にするためにある(自分にとって)。
  • 「やらないから、できない」→「やればできる」→「でも無理なこともある」

なんとなくだけど、バランス感覚の高い人だなぁ…と思った。

オープンソースの重要性について。

  • 情報交換のため。他人のソースを読む
  • 機会平等を実現できる
  • 同僚の「かずひこ」さんはtDiaryでRubyを学んだ。

ちょうど、「ローマ人の物語」の最新刊を読んでいたせいか、この機会平等って言葉が頭に残った。 新しい人が参入しやすいってことが、ここまでオープンソースが発展した一つの理由。

最後は、「プログラムと経営は似てる」という話になってた…けど、経営の経験がないので良くわかんない。

Why Open Matters (Six Apartの宮川さん)

Perl コミュニティであるShibuya.pmを立ち上げて育てた方。 僕の中では、今日の講演の中でいちばんの内容だった。

最初に自己紹介。

  • 昨日サンフランシスコから来たよ。
  • シリコンバレーではなく市街地。
  • ツイッターとかが歩いて1分の距離にある。

そして大学のお話。

  • 大学のつながりでオンザエッヂでバイト。弾さんが1ヶ月後に入社。
  • 99%受かる大学院入試に落ちる。
    • 1単位落として意図的に留年。保険をかけた。
  • オンザエッヂのデスマ案件で社長に認められる。
    • 共通化で品質を向上したり。泊まり込みの生活。
  • Bulknewsをスタート。もうすぐ1億PV。
  • フレームワークSledgeを作った→オープンソース化。

ちょうどStrutsやPHPが伸びてきて、クライアントからPerlは古い印象を受けていたと。 オープンソース化は、それを払拭する目的もあったとのこと。

  • プレゼンス向上(こんなに各所で取り上げられていて実績もありますよ)
  • OJT教育コストの低減(これ勉強しといて)
  • 開発チームのモチベーションアップ
  • CodeRepos = マイクロブログサービス … コードを書くことが挨拶のようなもの
  • 自分の所属にとらわれない情報交換。
  • Benとディナー→CPANが履歴書→モジュールを全部読んでくれた。
    • 「今まで自分がやってきたことが繋がっていく感覚」
    • そしてSix Apartへ。
  • 「OpenXXX」→コミュニティドリブンの仕様策定。OpenID, OAuth。Microformat。
    • 「Mobile Discovery」を作った。
  • OpenIDのファウンダーのDavidが同僚。
  • API→昔はデータを開放。今はプログラムを取り込む方向。
    • 面白いものを作ったらとりこみますよー。
    • 実力があればどんどん採用される世界に。
  • 「コードは世界を変える」→「コードはあなた自身を変える」
    • CodeReposやGitHubを使って欲しい。
    • 日本の技術者コミュニティは高レベル。
  • Shibuya.pm … 勉強会のさきがけ。横のつながりを作った。ロックスターを生んだ。
  • LTがスタンダードになった。発祥はYAPC。(司会のよしおかさんのコメントだったかな?)

プレゼンが終わったときは盛大な拍手。

シミュレーション的発想によるプログラミング(Dreamboat 技術顧問の金子さん)

大人の事情により、配信はなしということ。

  • NekoFlightというフライトシミュレータのデモ。エースコンバットみたい。
    • 3Dのライブラリを使っていない。当時は3Dハードウェアが無いマシンが多かった。
    • フライトシミュレータ→ミサイルデモ。
  • プログラムは手段。シミュレーションが目的。

講演のキーワードは「複雑系」。 これは、入力値が少し違うだけで結果が大きく変わるような系(システム)のこと。 ニューヨークの蝶の羽ばたきで日本の天気が変わる…って例を本で読んだ記憶がある。

プログラムも同じで、基本的には同じ入力値からは同じ結果が得られるはず。 でも、ちょっと入力値が変わっただけで(プログラムが変わらなくても)結果が大きく変わるので、プログラムを動かしてみるまでは結果が予測できないことになる。 司会の弾さんは、「決定論」という言葉を使ってた。

  • 自分が作ったけどどう動くのかが分からないってのが面白い。
    • 物理運動、P2P。どちらも同じ。
    • プログラムはシンプルだけど動かすと複雑。
  • コンセプト重要。
    • 初期設計はあんまりやらない。とりあえず動く。
    • モデルはシンプルに
    • バグが予想外の(よい)結果を生む。これはシミュレーション分野だから。
    • なんで動くかわかんない。なので説明できない。

まさに、職人という印象。 自分とは全然違う世界だけど、それが面白かった。

ライトニングトーク

ここでノートの電源が切れたのでメモ終了。 少し疲れたので、ライトニングトークは頭を空っぽにして聞いていた。 個人的には、id:quill3さんの「ギーク図書館」が一番面白かった。 お気に入りの図書館の予約システムが使いにくかったので、勝手にマッシュアップして使いやすくしたという話。 たぶん、元のシステムは先に機能ありき(○○ができること、という仕様書がたくさんありそう)で、使い勝手は後回しだったんだろうな。 システムの使いやすさは、作る人の愛着にかかっているんだな…ということと、「人に文句を言う前に自分の手を動かす」ということが印象に残った。

と、今年も刺激を受けたイベントだったよ。

追記

オレンジニュースさんとこに補足されてたので追記。 他の人のレポートは「itprochallenge」を含む注目エントリーでチェックできるよ。

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